Q太郎の『いぎなり怒らった』

~しみわたる一杯の水~

むかし墓石屋だった(2)

(~前回からの続きです)

お墓を衝動買いする

 

…おいおいほんとかよ

墓なんて衝動買いするもんじゃないだろう、もっとじっくり考えて

いろいろ見てまわってから決めた方いいんじゃない?

 

・・・と思いませんか

私は今でもそう思います

もし今自分が「墓を買いなさい」と言われて買うとなったなら、必ずそうすると思います

それは筆者である自分の性格ーー慎重な性格ーーのためということももちろんあるのですが、

やはり自分だけではない、じっさいに多くの人に話を聞くと実にみなさんほんとうに一生懸命見てまわっているということがわかります

 

筆者ももう中年に差しかかりましたが

おそらく、30代、40代ぐらいでは自分の墓のことはおろか親の墓のことすら考えたこともないということがふつうだと思います

こんな仕事をしなかったら筆者も100%考えもしなかったことでしょう

 

しかしこれは私の感触ですが

親は意外に自分の墓のことを考えています

 

電話をかけると決まってお客さんがいう言葉があります

それは

「まだ考えてない」

これはほとんどのお客さんが口にします

もちろん断り文句です

 

〈以下電話のやりとり〉

「考えてないよ(・・・ガチャ)」

(次にまたかけてみる)

「考えてない(・・・ガチャ)」

(また何か月かしてかける)

「まだ若いからねぇ(笑・・・ガチャ)」

(しばらくしてまたかける・・・すると・・・)

「ああ、それならこのあいだ決めてきたよ、〇〇霊園にね(←なぜかなんとなくうれしそう)今までお世話さんねー(・・・ガチャ)」

 

という具合に

 

(なんだかんだいって)多くの人がある程度の年齢になるとやはりそれなりに、ちゃんと考えていらっしゃるということがわかります

その「本気で考えはじめている」という人の割合が40%なのか50%なのか97%なのか・・・わかりませんがとにかく世代が進むにつれて高くなることは確実です

 

考えてない、考えてないといいつつ考えています

 

◆なぜもってないとわかるか

ちなみにこの仕事をしていたときによく聞かれたのが

「なんでうちに電話よこしたの?」

「どこで調べたんだか」

というもの

ーこれは個人情報がいっそうキビしくなってきた昨今においては(営業の人たちはいったいどうやって仕事をしてるんだろう…)と心配になりますが

やっぱりお客さんとしては、もし自分がお墓をもっていなくて

潜在的にいずれは考えなくてはならないと心のどこかで思っていたとしたら、そんなふうにギモンに思うのは当然だと思うのです

 

あるいは早急にお墓を建てる必要があるというお宅があって、たまたまそこに電話したというパターンも当然出てきます(つまり不幸があったお宅ですね)

だからもしそういうお宅のかたが電話に出て、それが墓石屋からの電話だったら

「なんでうちのことがわかるの?!」

と思うのは当然ですね。

よくわかります

 

ただし。

それを口に出してしまっていいものか。

(・・・どこかの名簿業者から情報を買ったんでしょう?よくテレビで言ってるよねぇ・・・)

はい。たしかにニュースでもそういった報道がされてます。

そういった業者さんも確かにいるようです

ですが自分の所の会社では、お客さんに聞かれたときは必ず

「電話帳から順番にかけています」

と答えていました

 

じゃあ実際はどうやって調べたかというと…

実際にもほんとうに電話帳で順番にかけていました

そうやって一軒一軒、

「ああ、このうちは墓がない」

「このうちは持ってる」

「このうちはこうだ」

というのを聞いていくわけです

ですから、みんな断りたいわけだから

「うちはあります」

「あります」

「必要ありません…」

となるわけですが、もちろんその反応によってなんとなくわかってしまうわけですよね(^.^)

(このへんはお客さんと営業とのたたかいなわけです)

で、お客さんの方も(買ってくれたわけじゃあないので正確にはお客さんでもなんでもないのですが)猜疑心(さいぎしん)まんまんに

「この電話番号どこで調べたの?」

などと言いたくなってしまいます

ほんとうにその気持ちわかりますが、断るのであればこれは言わないほうが無難です

 

なぜならそれは「自分はお客さんだ」と言っているようなものだからです

 

あるいはもしほんとうは違ったとしても、電話をかける方は必死なので「ここの家は怪しい」と踏んで必ずまた電話をかけるでしょう

 

不要なことはいわずに「うちは墓ありますからぁ~」と逃げるのがベターだと思います

 

ちなみに私が電話をかけていたころはまだ社会人としてもかけ出しでしたが

「そんな名簿業者なんてほんとにあるのかな…」

というぐらいに思いながら電話をかけていました(かけまくっていました)

 

その後、筆者がたまたま大手の通信教育の会社を利用していたときに、この会社の顧客の個人情報が大量に流出するという事件が起きました

そしてそのときに名簿業者に情報が流れたということも発覚しました

そのときになってやっと自分でも

「ああ、やっぱりほんとにあるんだな、名簿業者って」

と思ったほどでしたが

むしろ自分が被害にあってしまったわけです…

 

というわけで、なぜわかるかという疑問の答えは

「そんなのわかるわけない(あなたが言わないかぎり)」

というものだったわけですが

(少なくとも自分の会社では、ですが)

 

やはり忙しいときに電話がかかってきた方はたまったもんじゃあありません

待っていた電話だと思って受話器をとったら墓の勧誘かよ…

とがっかりするというのがほとんどでしょう

 

それでもまかり間違うと買ってしまうのが墓の不思議なところでもあります(続く)