Q太郎の『いぎなり怒らった』

~しみわたる一杯の水~

ものぐさにつける薬(1)

やる気を出すのに苦労しているのは私だけではないらしい

 

作家の村上春樹氏は毎年ノーベル賞文学賞)の候補にあげられている

ファンが集まって「受賞の瞬間」を心待ちに見守るという光景はもう風物詩のように感じられる

 

2017年度に文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏も「村上春樹氏ら優れた作家の前に受賞したことには申し訳ない思いがある」と受賞の際に述べているが、それほどの人でもアイデアに苦しむらしい

 

ちなみに村上氏がやる気を出す工夫(?)としてやっていることというのは

「とにかく机に向かう」

ことだそうだ

書くことが特に決まっていなくても、とにかくその態勢に入ることで仕事モードに入っていくということなのだろう

 

村上氏とは次元が違うが、やる気を出すのに苦労することについては筆者も人後に落ちない

 

何をするにもまず面倒ということが先に立ち、あたまに浮かんだことを実行するまでにだいぶ時間がかかる

「エンジンがかかってくるのがおそい」

なんて言ってくれる人はごく一部だ

時間がかかるぐらいならいい方で、結局やらずに終わってしまうということも少なくない

 

自他みとめる夜型

そのうえ時間ギリギリになるまで本気を出さない

いったいこんなことでどうやって今まで生きてきたかとすら思う

 

この中でとりわけ厄介なのが

「とりかかりが遅い」

ということで気がつくと時間が経っている

 

そんな私もさすがに悔いあらためた時がある

それはある本に次のようなことが書いてあったときだ

 

「ほんの一時の怠け。気づいてみればそれが一生怠けたことになる(だろう)」

 

これは『徒然草』の一節を筆者なりに意訳したものだが、意味はそう大きくズレてはいないはずだ

つまり

「のんびりしているうちに、人生は終わっちゃうよ」

そんな意味に私には思えたからだ

 

そのころは自分の身近なところでも

「人生って、あっけないんだ」

と思うことが何度もあった

さらに3・11の震災からも日が浅かったため、よけいに心に響いたのだろう

 

「長いようで短かった」

「あっという間だった」

 

言い回しとしてよく聞くし、自分でもよくつかう

 

会社で働いていると一週間が長い

学生にはテストまでの期間は長いように見え

カレンダーを見ると1か月はずいぶん長いように感じる

しかしすべて過ぎてしまうとあっという間だ

夏休みなど気がつくとあと3日しかない

部活の大会までの期間もそうだった

 

しかしそんなふうに

「気がついたら人生あと3日しかない」

なんてことになっているかもしれない、と思うと急に怖くなったのだ

 

それでおおいにあせって、それからは生き急ぐような気持ちになった

グズグズしている時間はないなと俄かにやる気を出し始めた

そして後回しにしていたことを次々に実行した

「強行」したといった方がいいかもしれない

 

だがそんな思いもだんだんと時間の経過とともに記憶のすみっこに追いやられていく

気がつけばまた日常の雑事にとらわれて、もとに戻っているのをみつける

それでまた例の一節を思い出してハッとする

 

こんなことを繰りかえしながら、

「自分ってつくづくものぐさだなぁ」

とイヤになることがあるが

「これが自分だから」

と最後にはあきらめるしかない

 

しかしそんなあるとき、たまたまこの「ものぐさ」というやつをいくらか軽減するコツとでもいうべきことを発見した

これがやはり冒頭で触れた村上氏のやり方にも通じる点がある

さらにこれは単に「ものぐさ」を改善するだけの問題ではないということもわかってきた

それはなぜかときおり起こる体の不調、ドッとくる疲れとも関係しているらしかった

 

ではそのコツとはなにかというとそれはなんのことはない、

 

ものごとを「少しずつ分けてやる」

 

ということだった

(次回に続きます)