Q太郎の『いぎなり怒らった』

~しみわたる一杯の水~

出産で30歳でしごとやめたら、人生で何円損するか

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あるしらべによると、出産を機にしごとをやめてしまう人の数は年間に20万人*1

 

今、しごとをしている女性が妊娠したら、3人に1人はやめてしまいます。

 

ところで、妊娠・出産のために仕事をやめた場合、長い人生でどのぐらい収入が減ることになるのか考えたことがあるでしょうか?

 

これを実際に計算してみた人がおり、先日その結果を公表しました。

 

◆しごとをもつ女性に子供ができるとどうなるか

 

女性にとって、妊娠・出産は人生の一大イベントです。

 

子どもをとるか、仕事をとるかという究極の選択にせまられるということを多くの女性が経験していることでしょう。

 

じっさい、妊娠しながらしごとをつづけることには大きな負担がともないます。

 

たとえば、つわりの真っ最中であるであるにもかかわらず、となりの席にいる同僚がヘビースモーカーだったら・・・考えただけで、気が遠くなる話です。妊娠中は立ったり座ったり、それだけでもひと苦労になっていきます。妊娠中でありながら仕事をつづける女性には頭が下がります。

 

女性が育児しながら仕事をするのを積極的に支援しようという会社もずいぶん増えているようです。

 

その一方で、「うちの会社はそういうのにあまり理解がないんだよね…」というママの声も耳にします。たとえば子供が急に熱を出して会社を休まなくてはならなくなったが、上司の対応が冷たい・・・といったぐあいに。

 

ですがそれぐらいならまだいい方だ、と思えてくるデータもあります。

 

会社に妊娠したことを報告したら退職をすすめられた、ということも現実にあります。妊娠・出産を機に退職した人の10~15%の人は、会社から解雇されたり、退職をすすめられたという調べがあるぐらいですから、実際にはかなりの数の人がそういった経験しているはずです。*2

 

この時代に、そんな職場が1割以上もあるのか、と耳を疑いたくなるぐらいですが・・・。

 

こういったことを知っていけば、女性が社会に出て仕事をしていくということがいかにたいへんか、じわじわと感じられます。ため息がもれそうです。

 

◆しごとを辞めたら人生でどれぐらい損をする?

 

出産によってしごとを辞めてしまえば、もちろんそれまでえていた収入もなくなります

 

はたらく女性が仕事をやめたばあい、やめなかったときと比べてどのぐらいの収入減になるのでしょう?また一生涯ではどのぐらい差が出るのでしょうか? 

 出産休暇・出産休業のイラスト

 

たとえばAさんは30歳のときに妊娠し、これを機に退職したとします。

 

Aさんはごく平凡な正社員で、給料も正社員としては平均的な額をもらっています*3

 

いったんは仕事をやめたAさんでしたが、子どももだんだん成長して手がかからなくなってきたこともあり、40歳のときにふたたび仕事をはじめました。ただ家庭との両立なども考えてパート職員としてはたらきました

 

そしてAさんは60歳になるまではたらきました。

 

そんなある日、Aさんはあるときふと思いました

 

「わたしはあのとき仕事をやめて、今はパートをやってるけど、もしあのとき仕事をやめないで今までつづけていたらもっとたくさん給料をもらっていただろうなぁ」

 

さて、Aさんはもし仕事をつづけていたらどのくらい多く給料をもらっていたことになるのでしょうか。

 

結論からいえば8300万円ぐらいは多くもらっているはずです。

 

Aさんのようなケースでは、ごく平均的な正社員として30歳から60歳まで仕事をやめずに働いていれば、それぐらいの差が生じます。

 

具体的にいえば、まず30歳から40歳までAさんはお勤めをしていなかったので収入はゼロです。そのあとパートとして(非正規社員)として働くのですが、やはり正社員として継続して勤めていた場合と比べると給料に差が出ます。これらを合わせると30年間で8300万円ぐらいのちがいが出る、というわけです。

 

一人の人生を考えたとしても、大きな金額ではないでしょうか。

 

さらに女性の出産・退職によって損をするのは退職する女性たちだけではありません。女性がやめてしまうことで会社も損をしています。能力のある女性がやめてしまうわけですから、会社が痛手を受けるというのは当然といえば当然です。

 

最初に紹介したとおり、働く女性は一年間に20万人もやめています。もちろん一人一人の女性も収入がゼロになるので日本全体として考えるとぼう大な額になります。その額およそ6000億円。

 

さらに企業も損をしているので(優秀な女性がやめているので)その分も合わせると1.2兆円ぐらいの損をしていることになります。これが女性が出産・退職することによって生じている経済的な損失の額です。日本全体が損している、という話です。

 

私たちがこれだけ損をしている、日本全体としても大きな損をしているということは、主要なメディアでも取り上げられました。

 

「だからナニ?」と思われるかもしれませんが、背景には「少子化と高齢化がすすんでいるので世の中のにない手がどんどん減っている、このままでは近い将来、会社も世の中もたちゆかなくなる」という状況があります。

 

たとえば今ですら働き手不足に苦しんでいる介護のしごとなどは、この先さらに働き手が減っていったらいったいどうなるのでしょうか?数十年後私たちの足腰が立たなくなったころ、いくらお金があっても介護してくれる人がいないかもしれません。

 

あるいは体調を崩し、病院に行きたくてもお医者さんはおろか看護師さんもいずれはいなくなってしまうかもしれません。

 

このままいくといつかはそうなるということがはっきりしているので、こういう危機感を現実のものとして感じている国のトップなどはどうにかして働き手(労働力)を確保していかなくてはならない、と本気で考えています。

 

そのために、働くお母さんの力をなんとしても借りなければならないという、切実な場面がすぐそこまできています。

 

たとえば先ほど「8300万円の損をしている」という例をあげましたが、これだって人それぞれの価値観ですから、「子育てに専念したい」という人もいるわけです。子供ができたときにいちいち「8300万円と、子育てとどっちをとろうか・・・」なんて迷っている人はいないでしょう。ただ、「キャリアと家庭のどっちをとるか」という選択には、常に女性はせまられている、とも言えます(これは女性に限ったことではありませんが)。

 

わざわざ専門家が計算しなくても、「退職しないでキャリアを積みかさねたほうが収入も地位も高いだろう」ということぐらい誰でもわかるわけです。にもかかわらず子供ができたときに「子育てに専念したい」と考える女性は少なくありません。たとえばある調べでは働く女性のうち10人のうち3人から4人は、子育てに専念するために自発的に仕事を辞めたと答えています*4私はこのことにむしろ希望を感じます。

 

キャリアをかさねて会社や職場の中で出世し、バリバリ働く女性を見ると(男性から見ても)「スゲーなー・・・」と思ってしまいますが、同時に子供を産み育て、一人前にするということも、これも職場で活躍するのにも勝るとも劣らない立派な仕事です

 

「日本が解決しなくてはならない最優先の問題は少子化だ」と考える人は少なくありません。ですが同時に、「女性にもっともっと社会に出て活躍してもらう必要がどうしてもある」という状況もあります。なにより、優秀な女性は実は多いのです。

 

◆女性こそが日本を救う

こう考えてくると、なんだか女性ばかりたいへんなように思えてきます。

 

そもそも女性は社会に出ては仕事をし、家庭を持てば家では母として妻としての責任を負うことになります。そういう女性の一日は、目もまわるように過ぎていくことでしょう。

 

よく、子育ては誰にも認められず、ほめられもせず、報酬もないことからある種のむなしさを女性は感じるといいます。

 

しかし(突然ですが)ちょっと待ってください。

 

だれも認めてくれないのなら、私が認めます。

 

「お前は誰なんだ!!」

 

という声が聞こえてきそうです。

 

私はおでこが少し広くなりはじめたただのおっさんです。

 

ですが

 

子どもを産んで、愛し、そして一人前になるまで大切に育てるということはもうそれだけですごいことなんです。

 

なみたいていのことではないのです。

 

それだけでお母さんはえらいのです。

 

ダンナが子育てに興味がなくても

 

あるいはダンナがいなくても

 

だれもほめてくれる人がいないかもしれません

 

ならば私がほめましょう

 

お母さんはえらいのです

 

お母さんはつよいのです

 

お父さんよりもずっとずっとつよいのです

 

その証拠に、お父さんがいないときでもお母さんはちゃんと子供の世話をしています

 

どんなにつらくても子供の世話だけはしてから自分は寝ます

 

(お父さんは先に寝てしまいます。すみません。)

 

 

話はだいぶ脱線しましたが、それだけ女性の力が求められる世の中になってきている、さらにそういう世の中になっていく、ということはまちがいないでしょう。

 

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※本稿で使用したデータはすべて、第一生命経済研究所による2018年8月1日のニュースリリース「出産退職の経済損失1.2兆円 ~退職20万人の就業継続は何が鍵になるか?~」を参考にしたものです

 

*1:第一生命経済研究所 2018年8月1日ニュースリリース「出産退職の経済損失1.2兆円」

*2:厚生労働省平成27年度 仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果」

*3:女性正社員のばあい。

*4:厚生労働省平成27年度 仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果」によると正社員の29%、非正社員の41%がそう答えています